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2007/10/10 (Wed) 海に眠る父を求めて

 
海に眠る父を求めて
日英蘭 奇跡の出会い   鶴亀彰 著



1941年12月25日 日本潜水艦【伊166】がオランダ潜水艦【K-16】を撃沈。
1944年7月17日 イギリス潜水艦【テレマカス】が日本潜水艦【伊166】を撃沈。

太平洋戦争時、著者の鶴亀彰さんの父、鶴一さんは、海軍大尉として、伊166に乗っていました。
当時、彰さんは3歳。
戦死の知らせと、生前の何枚かの写真いがいには、何も知らされなかった遺族。

それが、2003年、予期せぬ出会いに恵まれ、
現在も海に沈んだままの伊166と、父を含む乗組員88名が、どこの海に眠ってるのかを調査することになったのです。

この本は、その調査の結果と、奇跡としか言いようのない、敵同士だったそれぞれの潜水艦の乗組員の遺族との交流を描いたドキュメンタリーです。

(あらすじを知りたくない方は、以下を読まないでください)

事実は小説より奇なりといいますが、まさしくこれがそうだと思います。
わたしは、読み始めてあまり面白くないと感じると、斜め読みしてしまうこともあるのですが、
この本は読み始めるとすぐに惹きこまれ、じっくり時間をかけて読ませていただきました。
泣ける場面、考えさせられる場面、感動させられる場面、久々に読み応えのある本でした。


かつて太平洋戦争にも従軍し、海上自衛隊で活躍した方との偶然の出会いから、その方から送られた資料に刺激を受けた著者の鶴亀彰さんは、調査をはじめることになります。
戦争当時は、軍の機密ということで情報の公開はなされなかったのですが、現在は遺族なら閲覧できるとのことで、
彰さんは60数歳になってやっと、事実を知る機会を与えられました。

善意のリレーで手に入った資料、伊166を撃沈したテレマカスのキング艦長の、その時の記録を読み、本当の命日と撃沈された場所を知ります。
彰さんはマラッカ海峡を訪れ、海に献花をし、
60年の時を経て父親との再会を果たし、冥福を祈ることができました。

その後、オランダに行き、日本軍が撃沈したK-166の乗組員の冥福を祈るためにオランダ海軍基地に訪問するのですが、
突然の彰さんの基地への訪問がかなうのも、いろいろ手を尽くして手配してくれた、人々の善意があってのことでした。

そしてそれがきっかけで、K-166の乗組員の遺族から、連絡が入ります。
自分の父親が殺したオランダの潜水艦の乗組員の、娘さんです。
複雑な思いを胸に、会うのですが、そこでは戦死した親を持つこどもという感情を共有でき、思わぬ友情を生む結果となります。

そして、またまた人々の善意のリレー。
今度は、彰さんの父親を殺したテレマカスのキング艦長との出会いを果たします。


みな、心の中は複雑なのです。
戦争中、戦後の悲しい辛い過去が、よみがえります。
また父のカタキであるそれぞれの遺族なのです。
けれど彼らは、悲しみを乗り越えて、友情を育みます。

また、捕虜収容所というとドイツが真っ先に頭に浮かびますが、
日本の捕虜収容所でも、捕虜になった兵士たちは人間以下の扱いを受け、現在もその憎しみを抱き続けているオランダの人々もいるそうです。

そうした現実の中で、戦争で受けた傷を癒し、憎しみを癒す活動をされている方々も、いらっしゃるのを知り、感銘を受けました。


彰さんは、本の中で呟きます。
「しかし、世界には、いまだに戦争の傷を抱える人々も少なくない。
どうしたら、いつになったら、その傷は癒えるのだろうか。
私はどうだろう。私自身の傷は癒えたのだろうか」

また、キング艦長が彰さんの奥様に語った言葉。
「戦争が終わり、平和な祖国に戻ってきた。
そこには多くの男や女が楽しそうに過ごしていた。
自分が戦ったのはその平和を守るためであり、本来ならばそれを喜ぶべきであろうが、その様子を見たときに、自分でも不思議なことだが、涙が止まらなかった。
それまでは、自分の一生で泣いた記憶はほとんどない。
しかしあのときには慟哭し、涙か枯れるほど泣いた。
なぜ泣いたのか今でも正確には分析できないが、それは一種の怒りであったと思う。
哀しみであったと思う。
自分の海軍兵学校の潜水艦仲間は5人のうち4人の割合で戦死し、もうこの世にいない。
そして、私自身も精神と肉体をすり減らす過酷な日々を過ごしてきた。
それに比べ、目の前にいる気楽に幸せな日々をのんきに過ごしている人々の姿についていけなかった。
私の疲れ切ったボロボロの肉体と、その心の奥低に癒しがたい傷と澱のような絶望感が沈殿した。」

潜水艦というのは、敵を先に見つけるか、それとも見つかって撃沈されるかの緊張の連続です。
また、酸素が薄くなったり、温度も高く灼熱の狭い空間の中で、過酷な環境での戦いだったそうです。
戦いに人生を捧げるということが、いかにひとりの人間を疲弊させ、
深い深い傷を負わせるものか、わかる吐露だと思います。


鶴亀彰さんの調査は、現在も続いているそうです。
バイタリティーとユーモアの溢れる、温かい人柄が伝わってくる文章で、
どんどん読み進めたく本でした。

秋の夜長に、興味のある方はぜひ、読まれてみてください。
本当に、小説のような現実のお話です。
 
 
 


ところで。
スピッツのアルバム、本日発売です!!
「さざなみCD」
わたしは昨日ゲットしちゃったのです♪



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議論ある仏教系(日蓮系)宗教団体を脱会した、2世のその後。
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